2008年5月号

私にとってのオフロードバイク/ぶち

 私がバイクの免許を取ったのは23歳のときだ。とにかくバイクに乗りたかった。興味をそそられたバイク、それはオフロードバイクではなく、オンロードバイクだ。当時、初めての単車ということで毎週上野のバイク街に通い、バイク選びを楽しんでいた。

 オフロードバイク(以下、オフ車)は自分の趣味から外れていた。町で見かけるライダーは、町並みとは不釣合いな格好で走っているし、あのヘルメットの形をどうも私は受けつけない。バイクもやたら細身で背が高い。自分のバイクのイメージとは異なっていた。

 もちろん道路においても例外ではなく、長距離ツーリング中にダート、砂利道にさしかかると気分は最悪だった。

 アメリカ大陸に、私が旅に出たのは28歳のとき。ライダーになってすでに5年の歳月が流れていた。オフ車に対する感情は変わらなかったが、南米の道路事情を知り、オンロード車で旅をしたいという強い意志! みたいなものが特になかったので、オフ車(スズキDR200)をロサンゼルスで購入した。

 中米あたりで、ダートを避けられないことがだんだんと多くなっていった。いやだなー、早く終わらないかなー、転びたくない、パンクするなよ、そんなことばかり考えてダートを通り抜けていた。

 南米のパタゴニアにさしかかった。進む道は内陸のダートルートにした。オフ車で旅をしているのにここを通らずにいたら、自分はチキンだと、びびりながらもなぜか変なこだわりが自分の中にあった。この道を避ければどれだけ楽なんだろうなー。

 1日数百キロのダートを走り抜ける。小刻みに、これでもかという感じでサスが上下する。それでも故障はなく、パンクもなく、小さなバイクは走り続けた。

 オフ車ってすごいなー。その走破性の高さ、頑丈さ、機動性に感動した。同時にオフロードの魅力に開眼した。

 帰国してから、バイク仲間にトライアルに誘われた。昔の自分なら興味がないと断っていただろうが、オフロードの世界を見たいと思い、ついていった。道なき道を走るバイク、信じがたい急坂を登るバイクに自分もまたがり、転びながらも冬の山で白い蒸気を体から出しながら楽しんでいた。道のないところを自分で道を決めて進んでいく、これにはやられた。

 今、DT125(1979年の2スト)に乗りながら、時々山に入っている。また、ビンテージモトクロスにもはまっていて、年4回レースに出て泥遊びを楽しんでいる。

 気がついたら、立ち読みしているメインのバイク雑誌がオフロード系のものになっていた。

 ビンテージモトクロスのレースは還暦をすぎた人も多く出場している。私もオフ車との付き合いが長くなりそうである。


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