2005年9月号  何事も楽しもう/小林弘典

ツーリング中、予定外の事が起きて、スケジュール通りに行動できない事がよくありますよね。さらに、計画性がない人だと、行き当たりばったりの旅になるんです(笑)。

 アメリカからメキシコのバハカリフォルニア半島に進むと、サボテン地帯が現れます。赤土の大地にサボテンが点々と生えている世界は、日本には無いものであり、自然とテンションは上がります。ここで無邪気にサボテンと戯れたくなってくるのは、ライダーの宿命。

 貧弱な地図を眺めつつ、次の町までの距離を確認して、ここで遊んでも大丈夫だなっと判断して、ダートで思いっきり遊びまくりました。で、日没直後の19時近くに目的の町に着きましたが……明かりが見えない?

 数軒の廃家があるだけで、ガソリンスタンドは?! ホテルは?!

 やばいぞ〜っと思いつつも、人がおらず途方にくれました。頭に「野宿」の二文字が浮かびましたが、まだメキシコをよく知らないし怖いイメージがあったので、簡単には判断できません。情報を全然仕入れていなかったので、判断材料が少なかった……。

 空を見上げると星が綺麗だな〜と思い、とりあえず困っている顔の写真でも撮っておくか、なんて考えて現実逃避している場合ではありません(笑)。野宿しないのなら動くしかない!

 行けるところまで、もう少し行ってみようと決意しました。真っ暗闇の中、ガードレール、反射板なんて洒落た物は、たまにしか見かけませんし、ヘッドライトの明かりだけが頼りでした。

 道路以外の所は光が無く、どうなっているのかサッパリ解らないし、たまに擦れ違うトラック以外、影はありません。昼間、トラックがコーナーで道を踏み外して、道路脇に横転しながら落ちていく現場を目撃しているので、否応なく気が引き締まります。何も変化のない真っ暗闇の中をずっと走っているので、いろいろ不安が増してきます。しかし、ここまで来たら行け行けゴーゴー!

 そうこう悶えながら、ガソリンスタンドを発見したり(この時点でガソリンギリギリ……)、怖そうな軍の検問があり、ビビリながら通過したり。スペイン語を勉強しておけば、もっと意思疎通がはかれて不安を払拭できたのでしょうが、ここでも行き当たりばったり、何とかなるわという性格が災いして、語学の勉強を怠ったので、全然しゃべれなかったのです(苦笑)。

 でも、
「こんな時間にどこへ行くんだ?」
「もう少し先に町があるぞ」
「がんばれよ」
 っと言っているような言葉の断片や励ましの雰囲気を拾って、がんばって走っていると、目の前に町の灯りが見えてきました。その時のうれしさは言い表せないものがありました。宿では、夜遅いのにもかかわらず、スタッフの人が部屋の前までバイクを運ぶのを手伝ってくれたり、レストラン(って呼べるのかな(笑))があり、
「飯食べてないのか」
「簡単な物なら作れるよ」
 っと食事を用意してくれたり、人の温かみにふれました。

 苦労した時の出来事やその時の出会いは、いい悪いにかかわらず思い出になります。このツーリングで、バイクの修理パーツを3週間待ったり、国境で揉めたり、警官に賄賂を要求され2時間粘って負けたり、ガス欠をやったり、チリの砂漠地帯でエンジンのピストンを焼きつかせたり、といろいろありました。当初の予定の半分の行程で旅が終わりましたが、自分で呼び込んだトラブルや想定外の出来事を、すべて楽しい思い出にしています。  海外で無計画な旅をすると、命にかかわるかもしれませんが、計画をしっかり立てていても、思い通りには絶対いかないと思います。 予定外のトラブルなどで、計画がうまく進まなくても、もがきながら、その状況を楽しもう!

 その時その一瞬の時間は、一度きりだから。何事も楽しむ気持ちがあれば、日本だろうが、海外だろうが良いツーリングが出来ると思います。

 最後は、「楽しかった〜!!!」っと気持ちよく終わるのが、やっぱり一番ですよ。


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