2009年1月号

Long Wrong Way Round / コレ


2008年夏。
ついにロシアに旅立った。
WTNの方など先人らにて確立されている、ウラジオストックから中央アジアを超え、
東アフリカを南下してアグラス岬を目指すルートを予定していた。
当初の予定から1か月以上遅れての出発。
バイクで旅に出ようと決めてから、すでに2年半が経っていた。

しかし、その1か月後。私は日本に帰国していた。

ウラジオストックから数千キロほどのスコボロディノフ近辺にて、事故に合ってしまったのだ。
幸いケガは擦り傷のみだったが、バイクの破損が少々ひどかった。
スクリーン、前面両ウィンカー、クラッチオイルタンクなどが吹っ飛び、
一番深刻な損傷として、スイングアームが折れてしまっていた。

また、厄介なことに事故当時の記憶がない。
現場の写真などを自分でも撮っているのだが、その日の夕食頃まで、全く覚えていないのだ。
どうやら、ウラジオストックから共に旅をしていたドイツ人ライダーが色々とサポートしてくれて、
通りがかりのトラックを捕まて、近くの町工場までバイクを運んだようだった。
その後、スイングアームは溶接し、なんとか自走できる状態までは直ったのだが、
色々悩んだ末、その時のバイクの状態、事故の際になくなった荷物類、進んだ距離を考慮して、
一旦戻って、再準備をし直すことにしたのだった。

その時の旅のお供がBMW R1200GS。
身長165cm、体重53kgと小柄な私には少々?大き過ぎるバイクである。
これが初めてのバイクであった初心者ライダーの私にとっての海外ツーリングは
常にバイクに対する不安が付きまとっていた。

「いつかは世界一周」
憧れのような、現実逃避のような想いを持つようになったのは、
卒業前に勢いで行ったイギリスへの短期語学研修がきっかけだった。

それまで旅行などは人任せで付いていくだけだった自分が、
たった一人で海外の空港に降り立った時に感じた
あの何とも言えない奇妙なワクワクは今でも覚えている。

それ以来、見知らぬ土地を旅することに目覚め、
働き始めた後も長い休みの度に一人旅に出るようになっていた。

比較的休みの取りやすい環境だったであろうが、
日本の普通のサラリーマンが取れる休みと言えば、長くても2週間前後。
そのせいか、もっと時間を気にせず、自由気ままな旅をしてみたいという想いが募っていった。

そして、当時の担当業務の区切りもつきつつあった2005年12月。
ついに仕事を辞めて、バックパック一つで旅に出る決心をし、
年明けを目標に出発地を考え始めていた時だった。
友人の誘いで、東京から三重の鈴鹿までのツーリングに同行して、計画は大きく変わった。
その頃、私は二輪免許すら持っていなかったので、
タンデムでのツーリングだったのだが、彼のバイクに衝撃を受けた。

彼が乗っていたのはBMWのツアラータイプ(R1200RT)で、
バッテリー電源を使ったグリップヒーターや電熱ベストなどの防寒グッズ、
i-pod接続のステレオスピーカー、
ワンタッチで取り外しが利く大型のパニアケースなどを装備しており、
真冬のツーリングであったにも拘らず、快適そのものであった。
バイクのバの字も知らない、そもそもBMWにバイクがあること自体知らなかった自分にとって、
まさにカルチャーショックだった。
「なんじゃこりゃ。これなら、フラッとどこでも行けそうだなぁ。」
「・・・」
「なんかバイクで旅した方がおもしろそう。。」
その数週間後、確かちょうどクリスマスイブだった、私は教習所に通い始めていた。
それが私のバイクとの(っというよりBMWとの?)出会いだった。

そして、大型免許が取れたころに発売されたユアンマクレガーのLong way roundという
ユーラシア大陸・北米大陸横断ドキュメンタリーのDVDにも影響された私はBMWの1200GSを買っていた。

普通に考えれば、かなり無謀ではあったが、
バイク自体に乗るきっかけでもあり、もはや憧れともなっていたBMWで行きたいという気持ちから、
計画を押し通した。
実際にもっと大きなバイクでヒマラヤのベースキャンプ近辺?などに行った人や
キビしい道は列車に乗せて通過したという人の話なども聞いて、無理をしなければなんとかなるだろうと。

そして帰国した今。そのバイクの選択について、迷っている。。

愛着のある憧れのバイクか?自分の体格に合った信頼と実績のバイクか?
そもそもバイクに乗るきっかけとなったBMWで周りたいという気持ちはあるものの、
マイナス要素も多い。
耐久性や海外でのメンテナンス、コストを考えても国産車の方が優れている。
また、もっと自分の体格に合った軽いバイクであれば、行ける範囲は広がり、
それこそどこへでも行ける・・かもしれない。

それまで他のバイクに乗ったこと自体があまりなかったため、
とりあえず、いろいろ乗って試してから判断しようとしていた矢先にケガをしていまい、
少々?沈没気味の時間が過ぎているのだが、未だに決め切れていない。

次の旅立ち、バイクの選択、どうなることやら・・・


バイクを受け取り、荷造り完了。いざ出発


日本人の1200GSとドイツ人のアフリカツイン


チタまであと1000km程。舗装化まであと一歩


事故直後の無残な姿。。


スイングアームがぽっきりと。 

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