2006年1月号  憧れの砂漠見学ツーリングで/キョロ

 1990年後半の半年間、初めての海外旅行&旅人経験をオーストラリアでしてきました。

 海外ツーリングで今でも強く印象に残っていることと言えば、現地の人との何気ない片言の会話とか、同じ旅人同士の出会い、そしてアクシデントなどのイベントです。

 オーストラリア一周が終わったあとに、大雨で行けなかったシンプソン砂漠がどうしても気になり、「砂漠の出口だけでも見たい」と、シドニーから往復5000qのツーリングをまた始めました。

 10月に入ったので、内陸はもう夏に近い暑さになっていました。「これは"BIG RED"を見るだけになりそうだな」と思い、けっこう気楽な、のんびりとした観光気分でいましたが……(BIG REDというのは、シンプソン砂漠の東の端にある大きな砂丘のことで す)。

 まずはWilcanniaという町でキャンプをしようと、ガソリンスタンドの親父に道を尋ねたら、
「んー、水没してるから、うちの裏のトイレの前にある芝生のところを使っていいよ。鍵はかけるようにね」
 と言われました。
「? なんでトイレの前なの?」と訊いたところ、
「この町はアボリジニの町だから……危ないよ」
 と言われ、親切を受けることにしました。

 テントを立てたら、夜になってどこから聞きつけたのか、アボリジニの4〜5歳くらいの子供がわらわらと12人くらいやってきて、おっかなびっくりしました。驚いている様子が子供たちにとって面白かったのか、つたない英語で自己紹介しただけで大笑いされました。子供たちにずっと囲まれて、「ここの子たちの笑い声と笑顔はいいな〜」と感じました。

 ワラビーと接触事故(ワラビーはたぶん無事なはず)を起こしたり、アウトパックのど真ん中の製油工場で泊めさせてもらったりしました。Innamilckaという町から15q離れたところでドライブチェーンが外れたときは、これで旅が終わったと青ざめましたが、それを乗り越えて、何とかBIG REDの30q手前の町Birdsvilleに着きました。

 ここで「BIG RED見学ツーリング」の終わりになりそうな会話がありました。

 バーでビールを飲んでのんびりしていたら、地元の2人の白人が話し掛けてきました。 挨拶を交わしたあと、
「君のXT600を売ってくれないか?」
 といきなり言われて面食らいました。
「どうしたんですか?」
 と訊いたら、2人組いわく、
「俺たち、砂漠を越えたかったんだが、100qの地点でバイクが大破して、町に戻ってきたんだよ」
「バイクを売ったら、俺はどうやってシドニーに戻ればいいんだい?」
 と訊いてみたら2人組はニヤリと笑い、
「そんなの簡単、飛行機で帰れぱいいんだよ」
 と言いました。
(なに寝ぼけたこと言ってるんだ? こんなところに飛行機なんてあるわけないじゃんか)と思っていたら、
 「この裏に飛行場ならあるよ」
 と言われました。

 バーの窓から外をのぞいたら、ん……確かにありました。滑走路らしきものが……。 (飛行機でシドニーに戻ったら、なんかいい笑い話になりそうだなぁ〜、やっちゃおうかな〜)と本気で売ることを考えました。
 でも、(ライダーだから、バイクで帰るのが筋だろう)と思い直し、この話はなしにしました。

 シンプソン砂漠の最大の砂丘と言われるBIG REDに行きました。当然そこでテントを張り、砂漠の雰囲気を少し体験して感動しました。いろいろなアクシデントがあり、思い出深いツーリングとなりました。


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