2006年4月号   寄せる想い/西嶋浩子

 初めて走る砂漠に四苦八苦しながら、やっとの思いで砂丘を越えると、そこには見渡す限りの真っ青なペルーの海。
 
  枯れた大地と命溢れる海の、対極的な姿が存在する景色に、地球の不思議な生命を感じることが出来たこの瞬間は、深い喜びと共に、感謝の気持ちがこみ上げて来た時でもありました。

  私がこの場所へ来るきっかけを作ってくれた、一人の女性の言葉があります。

 「健康な時は、自分の死を見つめて暮らすなんてことはしないから、『何時だって出来る』、『今度やろう』なんて思っちゃってさ……健康じゃ無くなった時に初めて気が付くんだよね。あれもやっておけば良かった、これもやっておけば良かったって。やれる時間があったのに、今じゃどんなに願っても出来る身体も時間も無いんだよね……」

  今までにも、同じような言葉を幾度となく耳にし、数多くの方の想いや生き方を看取り、その度に何かしら影響を受けてきました。ですが、きっとこの時、私の心の中に強く求めていた何かがあったから、彼女から発せられたこの言葉が、深く深く心に響いたのでしょう。悔いの無い人生を生きる『種』を、私の心に蒔いてくれたように感じたのです。

 「何時かはバイクと共に旅をしたい」と思っていた私は、その女性を看取った1か月後に退職。やりたいことがあるのなら「何時か」なんて言わずに、出来る身体と時間がある「今」やろう。「やり残しの無い生活をしよう!」と思ったのです。

 そして今、これから出会う人達と、心揺れるような想いや出来事に期待を寄せ、これまで私と関わり、支え育ててくれた人々へ、感謝の想いを寄せながら旅をしています。

 「人は人に生かされて生きる」

  生きていくことが旅だとしたら、その旅の中で、人の想いに触れ、その想いを生かし生かされながら、歩んでいきたいと願っています。


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