2008年7月号

継続すること、繰り返すこと/パクリ

   私は、サハリン・ツーリングに2000年から毎年出かけている。北緯50°の旧日ソ国境を越え、最北の町オハまで。ノグリキで原野に湧く温泉に入り、間宮海峡を望む西海岸のフラットダートをひたすら北上する。そんなことを8年続け、サハリンだけで走行距離は10,000kmを超えた。友人からは、「何がそんなにいいの?」と聞かれることも多い。そんな時は「何も無いよ。でも行けばわかるさ、行かなきゃわからない」と答えている。

 日本の最北端、宗谷岬。そこからわずか40kmほど北にサハリンはある。この島へは、稚内からフェリーに乗って5時間30分で渡ることができる。また自分の普段乗っている自転車、バイクや車で簡単に上陸できる。ロシアは個人の一時持ち込みの携帯車両は非課税で持ち込めるので、カルネなどの書類を準備する必要が無く、サラリーマンライダーでも手軽に海外ツーリングを楽しめる地域である。

 残念なことに、自動車保険の加入義務と、2007年からの税関業務の時間外業務の禁止といった処置のため、以前ほど手軽なツーリングエリアではなくなってしまったのだが、それでもまだまだ魅力的な地域である。

 ホテルのあるような都市は、州都のユジノサハリンスクを除いて200km程度の間隔で点在する。南北を走り抜くとおよそ900kmの行程になり、1週間の日程でサハリン縦断は可能である。日本では無くなってしまった貨客混合の寝台列車が、北部のノグリキとユジノサハリンスクを結んでいるので、バイクごと列車で移動することもできる。南部は元日本領だったこともあり、日本時代の遺物も多い。、ロシアの辺境にあり、さらにその片田舎ではあるものの、自然は豊かで人々は情に厚く、何度も足を運びたくなる地域である。

 皆が憧れる大陸横断や世界一周などは横への3次元的な移動と言え、ほぼ同じ時期のそれぞれの国、都市、地域を巡って行くことになる。もちろん移動する間に時は過ぎていくのだが、必然的に自分の住んでいた地域、今まで通り過ぎてきた地域との比較になってしまう。ふらっと初めて立ち寄った街。初めて訪れた街並みは目に新しく、興味深く、人々との交流も楽しい。しかし、その街が発展し ていようが寂れていようが結局は表面上の事しかわからないのではないだろうか? 人々の笑顔の奥にある過去もわからず、未来もわからない。

 同じ地域に繰り返し行くということは、その地域の過去との比較になる。発展や没落などが手に取るようにわかる。街並みや建物だけでなく、ファッション、人々のものの考え方などが少しずつ変わっていくのが感じられる。現地に住んでいると気づきにくい緩慢とした変化も、毎年訪れると明確に感じ取れる。

 もともと、ロシアは役人が代わると制度が変わるとも言われていた。現在では制度だけでなく、街自体が急激に変わっている。1年でビルが建ち、歩道が整備され、街灯が立ちと、目が離せない状況だ。数年前の情報は役に立たず、1年前の情報ですら参考にしかならない。

 急激な発展を「昔は良かった」と嘆く老人もいれば、携帯電話を首から下げ、ブランド物の衣類を身につけ街を闊歩する若者もいる。発展して治安が良くなったという人もいれば、貧富の差が広がって治安が悪くなったと言う人もいる。しかし、みな明るく親切(お節介ともいう)で陽気なロシア人の本質は変わっていないことに安心したりする。

 そんなロシアに今年も行こうと思う。

 :原生林にフラットダートが続く

 :荒野に砂の道が続く(ノグリキ〜オハ間)

 :ロシア人の子供たちは元気でかわいい

 :道端に天然のブルーベリー

 :日本時代の鳥居が残る

★プロフィール
パクリ
本名:齋藤 竜哉
2000年からサハリンツーリングを続け、サハリンツーリングの第一人者を目指している途中。

ホームページ:http://www3.airnet.ne.jp/junk/
サハリン関連ホームページ:http://www.sakhalin.jp/


↑バックナンバーを読むには、上記の<<をクリックしてください