2005年3月号 郷においては郷に従え/高山繁徳

 今日事故に遭った。自分が遭ったのではなく、倒れた原付バイクと傍らで倒れたまま動かない人がいるところに通りかかったのだ。一瞬「ん?」と思ったのだが、しばらく(といっても数秒だが)見ていても動きがないので、心配になり様子を見に行った。すると、彼はどうやらこけたときの打撲で痛くて動けないようだが、命に別状はないようだった。

 横で携帯電話をしていたオバサンが、
 「私が赤信号で渡ろうとしたから、このバイクの人がよけようとして転んじゃったの」
 と言っていた。その間にも何台もの車が通り過ぎていったが、誰ひとり止まる人はいなかった。いくらなんでも転んで動けなくなっているのに、ひとりも助けに来ないなんて冷たい世の中だ……。などと考えていたら、ふとエクアドルの山の中での事を思い出した。

 正確な場所は覚えていないが、閑散とした山道(舗装路)を走っていると、ふいに道の真ん中でうつ伏せに倒れている人が見えた。バスにつかまり乗っていて振り落とされたのかな? などと最初は思ったが、それにしては廻りに血の跡があるわけでもない。助けるべきかどうか現場に近づきながら悩むこと数秒、何か不自然なものを感じて結局素通りした。後で思ったのだが、あれはきっと倒れたフリをしている強盗だったに違いない。

 もちろん確かめるすべもないが。でもそいつは手足を広げて大の字に近い格好で倒れていたので、あのときはそれが不自然に見えたのだと思う。今日の彼のように道路に打ちつけられたら、普通は体を丸めてうずくまるものだといまさらながら確信した。

 日本では、道路に人が倒れていたら助けるのが普通というか常識だと思うが、この常識というやつ、外国に行くとそれがアダになったこと皆さんもひとつふたつオアリナノデハ……?

 これから旅に出る人へ
 時には日本的常識や正義感も捨てて対処することも必要ですよ。
 しかしわが日本の皆さん、道端でケガをしている人がいるときくらい助けてあげようよ……!


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