2005年8月号 あなたは、強い人/渡辺恭治

 海外を長期間ツーリングしていると、色々な人達が声を掛けてくれる。

 どこから来たの? どこへ行くの? 中国人? バイクは何t? 1人? 期間は? などなど。

 ひと通りの質問に答えると、
 すばらしいわ! 気をつけてね! あなたには、勇気がある! 強い人ね、
 と言われる。

 もちろん、勇気なんて無いし強くもない。そんなことを、日本の生活の中で言われた事はないし、それらは自分に無縁なものでしかない。今まで言われた事がないから、どう対応していいのかもわからない。

 どちらかというと、彼らから勇気をもらっているくらいだ。あんまり褒められると、俺に気があるのかと勘違いしてしまう。

 あれは、いっとくべきだったんだろうか?……

 どこへ???

 ただ走りたくて、ただ見たくて来てみただけ! そこに何があるのかも知らないのに走りたい! 見たい! ただ、それだけである。

 行ってみたら、道が無かった……。時差があった……。言葉が分からない……。雪が……。そう! もう一つ付け加えると計画性もない。冷静に考えると、今後一人の人間として生きていけるか不安にさえなる。

 よく言われる強い人って、どんな人だろう?

 K1選手、大相撲の関取、オリンピック選手、会社社長、料理職人、修行僧、芸術家、冒険家、みんな自分自身に負けない人達で、誰にも負けない信念をもっている。どんなときでも平常心を持っている。

 わかり易く、サラリーマンでない人達を例に挙げたが、本当に強い人は身の回りにいるのかもしれない。親兄弟、友達、仕事仲間、ツーリング仲間……。

 人は、その時代、そしてその場所での生活の中で強くなるのかもしれない。特別な事をするのではなく、普通の生活の中で平常心を保てる人が強い人なのかな……。

 南米チリの首都サンチャゴのネット屋で、偶然(運命的に)日本人ライダーと出会い、イースター島へ行くことになった。そのとき、自分は弱いなぁー! と感じた。イースター島に行きたくてエアーチケットを探していたが、時間とお金の問題で諦めていた。イースター島行きを彼女に説得され、一緒に行く事になる。

 普通、説得されて行くか? イースター島!

 説得に負けて正解だったのでこうして書けるわけで、彼女には本当にお世話になりました。自分の意思の弱さに感謝です。

 最近、旅先で出会った人達がフラッシュバックのようによみがえる事がある。日記にも写真にも残していない人達……。

 ちょっとだけの何気ない会話をしただけで、完全に忘れてしまっていた事なのに、会話にこれと言った内容があるわけでもないのに、何故か記憶の何処かに残っている。

 うーん、これは病気かもしれない!
 うーん、早くお金貯めよっ!!!
 うーん、次は西かな!!!


<< 

↑バックナンバーを読むには、上記の<<をクリックしてください