第10回WTN-Jお話会


『あなたの知らないアルジェリアツーリング』
10日間で何が起きたのか。


日程:2005年12月3日
場所:東京都目黒区民センター
話し手: 五十嵐 和子さん
参加者:31名
報告者:うらん
写真: 荒木利行
 お話は1993年のツーリング。いまから12年前といえば、まだ、PCを持っている人はわずかでインターネットなんてない頃です。そんな中のツーリング先はアルジェリア。旅の情報として唯一頼りになるのは旅の先人たちですが、その言葉も当時の危険度の増すアルジェリアの状況まで当てにしていいものではありませんでした。

 外務省からの「渡航注意」の出る中、雑誌の同行者募集で偶然集まったのは女性ばかり5人。彼女たちなりの解釈は「十分注意しなくてはいけない」ってこと、なにやら拡大解釈のような気がしないわけでもありませんが、「行ってはいけない」と書いてあるわけではないし、不安なままVisaをとりにいけば、「アルジェリアはいいところです、ぜひ行ってください」と逆に言われ、気を取り直したのでした。

 幸か不幸かフランクフルトで5台おそろいのXT350を手に入れて出発。ところが、出鼻をくじくようにすぐに1台がエンジン不調、他の2台がオイル漏れ。マルセイユで直したものの、バイク屋からホテルに帰るまでにまた、オイルが漏れる始末。
  アルジェリア上陸後もマシントラブルに限らずさまざまなトラブルやハプニング。サハラ砂漠にさしかかるある夕方、彼女たちは次の町まで行くには辛い場所でホテルに宿泊拒否にあい、立ち往生。テロの頻発する状況で外国人を泊められないホテルの人が、見かねて連れて行ってくれたのは近くの日本のオイルプラントでした。

 そこで、初めて知らされた当時のシリアスな状況。「やむを得ない状況以外では滞在してはいけないほど危険なところだ」。 
  どおりで検問も多かったし、物々しい兵士の護衛もあったわけです。ところが、「休みももう取れないし、いつ、また、ここに来られるかわからない。これはやむを得ないことだ」と翌日はそれでも、出発しようとパッキングするのですが、領事からの「あなた達の死体を見たくないんです!」の一喝でツーリングを中断することに。

 旅をしていると結構発生する予定の強制変更。上手くいかなかったことを受け入れ、親切な日本人の好意をうけて軟禁のような状況でもしっかり楽しみ、その後もヨーロッパをツーリングして終えた彼女たちの旅。五十嵐さんは笑顔いっぱいでその多数のエピソードを身振り手振りも交えて話してくれたため、まるで女子大生グループの卒業旅行の報告を聞いているようで、こちらもわくわく楽しい気分になりました。

 それにしても当時のアルジェリアの日本人の親切のありがたいこと!私も旅の間に、海外に住んでいる日本人の人に「日本人である」というだけで色々と助けてもらったことがあります。私たちは「旅をしている」のではなく、多くの人に支えられて「旅をさせてもらっている」ということを改めて感じたお話でした。