第40回WTN-Jお話会

==「みちのおわり The end of the road…?」==

話し手:ミノハラジュウゴさん
日時:2012年10月21日(日)14:00〜16:00
場所:大崎第一地域センター第一会議室
住所:東京都品川区西五反田3-6-3
司会:佐藤 繁
写真:佐々木 節
参加者:約42名

 

 ここのところ少子高齢化(!?)の進むWTN-J関係者のなかにあって、ひさびさに二十代の話し手として登場してくれたのがミノハラジュウゴさん。10か国3万3000q。ユーラシア大陸を東から西へ、そして、ロンドンから南米へと渡って最南端のパタゴニアへ。約半年にわたる旅の間に見たもの、感じたもの、考えたこと……をモノクロ写真のスライドショーとともに熱く語ってくれました。

 そもそもミノハラさんが旅に出ようと思ったのは、去年の大震災がきっかけでした。その日、建築写真関係の仕事中に高層ビル屋上で激しい揺れに遭遇したミノハラさんは「一度は死んだ」と思い、「やりたいことをやっておきたい」、「何か人の力になることをやっておきたい」……と海外ツーリングに出ることを決心したといいます。旅の目的地のひとつにチェルノブイリを入れたのも、「日本の未来を考えてみたい」という思いからすれば当然のことだったのでしょう。

 伏木→ウラジオストックのフェリーが運休中のため、鳥取→韓国→ウラジオストックという超ローカルな航路でXR250とともにロシア入りしたミノハラさんは、さっそく海外ツーリングならでは洗礼を受けることになります。税関でのドタバタ、警官からの意味不明な罰金請求、慣れないオフロードでの転倒……などなど。野宿を繰り返すうち「まるで落ち武者のようになっていった」と本人は自嘲していましたが、しかし、お話を聞いていると辛さはほとんど感じられませんでした。地元の人たちの親切やおせっかい(?)をたっぷりと全身で受けながら、ただひたすら西へ西へと走り続ける毎日。これぞ大陸横断ツーリングの醍醐味なのでしょう。

 そしてロシアからウクライナへ。チェルノブイリでミノハラさんが撮ってきた写真からは、26年前に起きた原発事故が決して過去の出来事ではなく、現在進行中の事実であることを思い知らされました。荒れ地と化していく農地、廃屋を突き破って成長する木々、そして、有刺鉄線の破れ目から立ち入り禁止区域に入り、きのこ狩りをしている子連れの家族……。福島での事故が無ければ気にも留めなかったシーンひとつひとつが、日本人の心に何かを訴えかけているようでした。

 快適なEU圏に入って「腑抜け」になってしまったというミノハラさんは、イギリス・ロンドンでこの旅最大のトラブルに巻き込まれます。バイクの盗難でした。しかし、ここで旅をあきらめず、とりあえずは南米に渡り、現地でバイクを購入して旅を続けようと考えるあたりは、すでに一人前の海外ツーリングライダー。日本を発ってから2か月、過酷なシベリアを走りきった経験の賜物といえるでしょう。サンチアゴでXR650を購入したあと、旅の再開したのは2012年1月2日。今度は南米大陸をひたすら南へ向かい、マゼラン海峡に面した最南端の町フェリトモレーノに辿り着きます。そして、サンチアゴへと再び向かう途中、オイル漏れなどトラブル続出だったXR650のエンジンがついに息の根を止め、旅に終止符を打つことになります。「十分走りきった」という充実感、そして、「もっと走り続けたい」という悔しい気持ち。これは地球儀で見てもひと目で分かるような長い旅をした人なら、旅の終わりに必ず感じることではないでしょうか。

 ミノハラさんが付けた今回のお話し会のテーマは「みちのおわり」。しかし、彼の話を聞き、写真を見たあと私が思ったのは、「みちのおわり」の向こうにあるのは「やっぱりみちだった」のではないかということ。もし機会があれば、旅の前と後で、ミノハラさんの撮る写真がどうかわったかも見てみたい気がしました。
(レポート:佐々木もんささ節)